Waldron 2013

Jeremy Waldron, "Political Political Theory: An Inaugural Lecture," Journal of Political Philosophy, Vol. 21, No. 1, 2013、を読了。
この連休中に得た認識として、バーナード・ウィリアムスやレイモンド・ゴイスの議論に痰を発する形で、「政治理論」を道徳哲学の一部門としてではない形で再構成しようとする議論動向のことがある。
この論文は、ウォルドロンがオックスフォードのChichele Professorshipの着任演説をもとにしたもののようだが、そこで、自分なりの「政治的な政治理論」について話している。
ウォルドロンは制度論を「政治的な政治理論」の核心と見なそうとするのだが、僕としては、それでは道徳哲学の一部門「ではない」政治理論、という観点をどこまで貫徹できるかな(できないのではないか)という疑問を持つ。何というか、ちょっと中途半端な気がする。「どのような制度が望ましいか?」という話になると、結局、制度の正当性問題に立ち入ることになるからだ。
だから、「政治的な政治理論」について語ろうとするならば、もう少し別のところにその核心を求めた方がよいように思う。