いろいろと

 週末は、日本法哲学会学術大会のワークショップ「家族という経験」で報告します。法哲学会ではあるものの、僕の報告は、家族/親密圏における依存関係(キテイ)と「政治」との関係を考察するものです。法哲学会には、そもそも参加するのも初めて。さてどうなるでしょうか。
 今週は、共著『デモクラシーの擁護』の最終校正もありました。この校正を終えたので、いよいよ刊行も間近になってきました。何度か書いているように、何しろこの本は、およそ5年越しくらいのプロジェクトなので、ようやくここまで来た!という感じです。
 この本では、著者3人で長文の序章(70〜80頁くらいになりました)を書くという、僕(たち)にとって新しい試みをやりました。これは自分の経験値を上げるのに大いに役立ったと思います。そして、自分自身の章では、いわゆるアーキテクチャについての議論を睨みながら、「ナッジ」(セイラー/サンスティーン」の概念をデモクラシー関与に応用するということをやりました。ずっともやもやしていたアイデアを、何とかそれなりにうまく表現できたという気がしています。
 それから、もう一つの共編著『アクセスデモクラシー論』についても、かなり作業が進んでいます。先週から校正やら何やらでいろいろ作業がありました。あともうちょっとというところでしょうか。
 そして、仁平典宏・山下順子編『ケア・協働・アンペイドワーク』(大月書店)も、編集作業がかなり進んでいて、来月には刊行予定です。今最後の校正中です(というか、もう戻します!)。これには、拙稿「労働/ケアの再編と『政治』の位置」が掲載されます。近年の労働とケアの関係を見直す福祉国家改革の言説を、「社会的投資」「〔男女間での〕ケアの再配分」「ケアの絆」の三つに整理し、それらを考える際の「政治」の次元の重要性を指摘するものです。
 というわけで、在外研究中に取り組んでいたいくつかのものが立て続けに形になっていきそうです。これらの作業が同時並行で進んでいて、そしてもちろん授業やら学内行政やらもあり、さらに、その合間に、依頼されたいくつかの研究会での報告もあって、なかなか大変な感じになっていますが、アウトプットが出るのはやっぱりうれしいもの。それぞれ手に取る時が待ち遠しいです。