読書

途中まででしばらく放置していた、千田有紀編『上野千鶴子に挑む』(勁草書房、2011年)を再び読み始める。第12章の阿部真大「ポスト『家族の世紀』の『おひとりさま』論」まで読了。

上野千鶴子に挑む

上野千鶴子に挑む

いくつかの論文で、(上野における)国家への批判(または嫌悪感)が指摘されている。多分それは合っていると思う。同時に、政治学者は、そこまで国家(および公式の政治制度)を突き放すことをしない/できないだろうと思う。

ところで、上記の阿部論文の最後の方に、「『おひとりさまの老後』を読んでいると、『あなたの幸せは本当にこれでいいの?』と、そんな上野の声が聞こえてくる。」(357頁)という一節がある。この部分を読んだ前後に、妻と電話をしていて、彼女が生徒たちによく「あなたはどうしたいの?」と尋ねている(問い詰めている?)ことを思い出した。そんな風に言ったという彼女の話しを聞くたびに、僕はよく、「そんなこと聞かれたって、答えられるはずないじゃん。それがわかっているのは、『近代的な主体』だよ」と、ちょっと揶揄的に言っている。でも、同時に、「あなたはどうしたいの?」とストレートに聞くことができてしまう妻はすごいな、とも思っている。自分がそんなことを聞かれても困ってしまうので、僕は、そういうことは基本的には聞かないから(少なくとも、自分ではそのつもり)。でも、妻も、別に「強い個人」を想定しているわけでは必ずしもないのだ(と思う)。「強く」はないけれども、自分の言いたいことはちゃんと言えるような状況をうまく生み出すことができればいいなと思う。