毛利2010

毛利透「自由『濫用』の許容性について」阪口正二郎編『自由への問い3 公共性――自由が/自由を可能にする秩序』岩波書店、2010年、を読み始めたところ。出だしから大変刺激的である。論文って、やっぱり問題設定なんだなと思わせられる。

公共性――自由が/自由を可能にする秩序 (自由への問い 第3巻)

公共性――自由が/自由を可能にする秩序 (自由への問い 第3巻)

【追記】
読了。C. Gusyの著作に依拠しながら、ワイマール共和国は「自由の濫用」を認めていたとは言えない、むしろ、かなり「たたかって」いたこと、しかしそのような「たたかい」は(言論と暴力が区別されていない)当時の特殊な状況に拠ること、よって、(当時とは違って自由民主体制の安定性をある程度想定できる)今日では、むしろ原論段階での「濫用」の名による規制は慎むべきであること、などが論じられている。個人的には、ワイマールの状況分析の部分が面白かった。というのはつまり、Gusyの著作の面白さということかもしれないが。自分はやっぱりドイツに関心があるんだなあと思ったり。あと、著者の結論は、『自由への問い1 社会統合』所収の愛敬浩二論文と共通するものではないかと思ったり。
社会統合――自由の相互承認に向けて (自由への問い 第1巻)

社会統合――自由の相互承認に向けて (自由への問い 第1巻)