もうすぐ新年

 こちらでは、あと一時間で2010年になります。日本からプラス2時間です(day light savingのため)。
 例年、年末にその年は振り返っていなかったような気がしますが、若干、振り返りましょう。


 今年の最大の出来事は、何といっても、オーストラリアにやって来たことです。初めての海外生活であり、そして、家族特に妻とは、相当久しぶりに別々に暮らすということで、このブログにもさんざん書いてきたとおり、不安いっぱいでやってきました。
 ようやく日常生活には慣れたと思ったら、今度は年明けから、子ども二人との暮らしが始まります。これはこれで、また不安の種。
 それに、こんな留学生活でよいのかという気もしないではありません。
 でも、いろいろ迷い悩んだし、おカネ的にはシビアな留学生活ですが、でも、このタイミングで行くことができたのは、やっぱりよかったと思います。ここで外国に行かなければ、二度と行くことはなかったかもしれませんし、ずっと後悔なりわだかまりなりが残ったことでしょう。 
 それに、こちらでは、人間関係にはとても恵まれています。海外生活の「ど素人」にとって、どれほど心強かったかわかりません。
 快く送り出してくれた同僚の皆さんにも、あらためて感謝したいと思います。僕のことだけではありませんが、ここという時には、正論が通る職場で、よかったなあと思います。
 

 そうそう、僕の留学で置いてきてしまった院生のみなさん、ちょうどほぼ1年前に09年度ゼミ不開講を告げてがっかりさせてしまった(?)学部生のみなさんには、あらためてお詫びします。


 研究のアウトプットは、まとまったものでは、単著一冊(『政治理論とフェミニズムの間』)と共著に寄稿の論文一本(『希望学』)でした。『構成主義的政治理論と比較政治』も含めると、論文二本ですが、こちらは、たぶんおくづけが1月なのではないかと思います。
 小さいものでは、αシノドスでの執筆担当、短い書評、『日本の論点2010』への寄稿などがありました。
 前著『熟議の理由』からあまり時間をおかずに単著を出すことができたし(確か2007年正月のエントリで、「2冊本を出す」とか書いたような気がします)、『希望学』所収論文(「足場とブレーキ」)も、自分としては、思い入れのあるものなので、そういう意味ではそれなりによかったです。
 ただ、今年の前半は、いまいち原稿が書けませんでした。やはり、自分の「知的資源」が枯渇してきていたのかもしれません。2000年代半ばから後半にかけて、かなり資源を「乱獲」してしまい、しかし、研究以外の仕事がどんどん多忙になって、十分な蓄積はできませんでした。多忙さと加齢(?)のせいで、身体に「ガタ」が来始めたことも、かんけいしているかもしれません。
 そういう意味でも、やっぱりこのタイミングで在外研究に出ることができたのは、幸いだったと思います。10年に一回くらいは、こういう機会がないと、研究者の知的資源は本当に枯渇してしまうような気がします。そういう意味では、次の10年間の「後」がとても不安です。


 と、何やら悲観的な見通しで、2009年を締めくくってしまいそうですが、そうは言いつつも、「何とかなるだろう」というのが僕のスタンスなのです。


 実は、明日には、ついに家族がやってきます。長男は4年生になってからようやく(?)休日に一緒に遊ぶ友達もできたところでした。それをなんだか無理やりこちらに連れてくるのは気の毒だったかなあと思いますし、だいいち、夫子三人で暮らしていけるのか、子どもは帰りたいと言い出すんじゃないか、僕は仕事が進まないんじゃないか……と、やっぱり不安です。 
 でも、これもやっぱり「何とかなるだろう」と思っています。


 と、書いているうちに、新年まであと30分となりました。では、皆様、よいお年を!