押し上げられること

 周りの人々の力によって、自分の力以上のものが出せることがある。そして、そうやって得た力によって、さらに次のステップに進むための自分への確信を得ることができることがある。
 僕がそういうことを実感したのは、(前に書いたことがあるけれど)高校時代のバスケット部のチームメイトたちとの経験だ。とくに高2秋の新人戦地区予選のI高校との一戦。
 高1時の一年生大会で県大会を制していたI高校が相手で、しかも会場はそのI高校。僕は「負けるかも」という気持ちでいっぱいだった。でも、チームメイトたちは、多分そんなことはまったく考えていなかった。いつもどおりプレーし、「そこで打つ?」というシュートもきちんと入った。僕自身は、確か前半でファール4つ、得点もさんざんだった。でも、なんというのか、「負ける」とは思っていないチームメイトたちに背中を力強く押されて、ファウルトラブルで退場せずにがんばることができ、そしてチームは勝利した。
 以後、僕は、一部の試合を除いて、「負けるはずがない」という意識で試合に臨むことができるようになり、そして、たいてい結果はそうなった。「例外的」に地区予選の思いがけないところで負けたことが2回あったが、それでも県大会出場は確保し、負けた2校のうち、1校については県大会で「リベンジ」した。
 他者によって自分の力以上のものを出せるところに押し上げられる経験を経て、ステップアップすることがあるのだろうと思う。
 最近、そういうことを感じる機会があり、そして、あらためて、20年前の経験を思い出した。