『政治学』刊行

 2017年12月に、新川敏光・大西裕・大矢根聡・田村哲樹『政治学』(有斐閣、2017年)が刊行されました。政治学の包括的な教科書ですが、「学生にわかった気にさせない、でも考えるヒントになるような教科書」というコンセプトの下、作られたものです。

政治学

政治学

  • 作者: 新川敏光,大西裕,大矢根聡,田村哲樹
  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2017/12/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 共著者の先生方は、みなさん政治学各分野の第一人者と言ってよい方々です。個人的には、自分がまだ院生(D1)時代に、大学院集中講義の講師として来ていただいた新川先生と、「政治学」というタイトルの教科書作りでご一緒させていただくことができたことを、とても感慨深く思います。20年という歳月は、長いようであっという間だったのかもしれません。まだまだ「政治学がわかった」と言い切ることはできませんが、それでもこのような教科書執筆に関わることができる程度には、自分も力がついたのかもしれません。・・・そんなことを思わず考えてしまいます。

頂きもの

菊池理夫先生から『社会契約論を問いなおす――現代コミュニタリアニズムからの視座』(ミネルヴァ書房)を頂いておりました。南山の紀要に連載されていた論考をまとめられたものです。どうもありがとうございます。

社会契約論を問いなおす:現代コミュニタリアニズムからの視座 (MINERVA人文・社会科学叢書)

社会契約論を問いなおす:現代コミュニタリアニズムからの視座 (MINERVA人文・社会科学叢書)

頂きもの

やはりはてなブログへの移行にまだ慣れないのか、ブログ更新をついつい放置してしまいました。とりあえず、この間に頂いた本のご紹介です。

1)樋口陽一先生から『抑止力としての憲法』(岩波書店)を頂いておりました。この年齢でのご活躍に、ただただ頭が下がります。

 

抑止力としての憲法――再び立憲主義について

抑止力としての憲法――再び立憲主義について

 

 2)小野塚知二先生から『経済史』(有斐閣)と、梅津順一・小野塚知二編『大塚久雄から資本主義と共同体を考える』(日本経済評論社)を頂いておりました。どうもありがとうございます。

 

 

 

大塚久雄から資本主義と共同体を考える

大塚久雄から資本主義と共同体を考える

 

 3)大屋雄裕さんから、『裁判の原点』(河出ブックス)を頂きました。どうもありがとうございます。

 

裁判の原点:社会を動かす法学入門 (河出ブックス)

裁判の原点:社会を動かす法学入門 (河出ブックス)

 

 4)寄稿者の山田真裕先生と谷口尚子先生から、池田謙一編著『「日本人」は変化しているのか』(勁草書房)を頂いていました。どうもありがとうございます。

 

「日本人」は変化しているのか: 価値観・ソーシャルネットワーク・民主主義

「日本人」は変化しているのか: 価値観・ソーシャルネットワーク・民主主義

 

 5)寄稿者の定形衛先生から、月村太郎編著『解体後のユーゴスラヴィア』(晃洋書房)を頂いておりました。どうもありがとうございます。

 

解体後のユーゴスラヴィア (シリーズ 転換期の国際政治6)

解体後のユーゴスラヴィア (シリーズ 転換期の国際政治6)

 

 

お買いもの

"everyday politics"関係の二冊。

 

The Politics of Everyday Life: Making Choices, Changing Lives

The Politics of Everyday Life: Making Choices, Changing Lives

 

 

 

Everyday Politics: Reconnecting Citizens and Public Life

Everyday Politics: Reconnecting Citizens and Public Life

 

「思弁的実在論」というものが台頭しているようなので、少し勉強意志てみたい気がするのですが・・・。 

 

なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)

なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)

 

 

 

歓待について (ちくま学芸文庫)

歓待について (ちくま学芸文庫)

  • 作者: アンヌデュフールマンテル,ジャックデリダ,Jacques Derrida,Anne Dufourmantelle,廣瀬浩司
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 文庫
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悪について (ちくま学芸文庫)

悪について (ちくま学芸文庫)

 

 

 

議院内閣制―変貌する英国モデル (中公新書 2469)

議院内閣制―変貌する英国モデル (中公新書 2469)

 

 

 

戦前日本のポピュリズム - 日米戦争への道 (中公新書 2471)

戦前日本のポピュリズム - 日米戦争への道 (中公新書 2471)

 

 

 

虐待が脳を変える―脳科学者からのメッセージ

虐待が脳を変える―脳科学者からのメッセージ

 

 

頂きもの

この間に、いくつか本を頂いております。

1)訳者の一人の荒木隆人さんから、ジェラール・ブシャール(荒木・古地順一郎・小松祐子・伊達聖伸・仲村愛訳)『間文化主義:多文化共生の新しい可能性』(彩流社、2017年)を頂きました。どうもありがとうございます。

 

間文化主義: 多文化共生の新しい可能性

間文化主義: 多文化共生の新しい可能性

  • 作者: ジェラール・ブシャール,丹羽卓,荒木隆人,古地順一郎,小松祐子,伊達聖伸,仲村愛
  • 出版社/メーカー: 彩流社
  • 発売日: 2017/12/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 2)寄稿者の一人の大倉沙江さんから、TSUJINAKA Yutaka and INATSUGU Hiroaki (eds.) Aftermath: Fukushima and the 3. 11 Earthquake, Trans Pacific Press and Kyoto University Press, 2018, を頂いておりました。どうもありがとうございます。大倉さんは、OKURA Sae and KUBO Yoshiaki, "Nuclear Damage Compensation: Mechanisms for Dispute Resoplution," の章を執筆されています。

 

Aftermath: Fukushima and the 3.11 Earthquake

Aftermath: Fukushima and the 3.11 Earthquake

 

 3)訳者の一人の金慧さんから、ハーバーマス(山田正行・金慧訳)『後期資本主義における正統化の問題』(岩波文庫、2018年)を頂きました。どうもありがとうございました。約40年ぶり(!)の新訳が、岩波文庫で登場です。

 

後期資本主義における正統化の問題 (岩波文庫)

後期資本主義における正統化の問題 (岩波文庫)

 

 4)岡野八代さんから、河野貴代美、対談:岡野八代『わたしを生きる知恵――80歳のフェミニストカウンセラーからあなたへ』(三一書房、2018年)を頂きました。どうもありがとうございます。興味ある一冊です。

 

わたしを生きる知恵 (80歳のフェミニストカウンセラーからあなたへ)

わたしを生きる知恵 (80歳のフェミニストカウンセラーからあなたへ)

 

 5)著者の古澤あすなさんから、『消えない差異と生きる――南部フィリピンのイスラームとキリスト教』(風響社、2017年)を頂きました。どうもありがとうございます。フィリピン南部でのイスラームとキリスト教の「決して消えない差異を内包した共存」を描き出したブックレットです。

 

消えない差異と生きる──南部フィリピンのイスラームとキリスト教 (ブックレット《アジアを学ぼう》)

消えない差異と生きる──南部フィリピンのイスラームとキリスト教 (ブックレット《アジアを学ぼう》)

 

 

高畠通敏先生との「すれ違い」

 高畠通敏先生の『政治学への道案内』(講談社学術文庫、2012年。原著1976年)と、『政治の発見――市民の政治理論序説』(岩波書店同時代ライブラリー、1997年。原著1983年)のいくつかの箇所を読む(読み直す)機会があった。前者については、恐らく部分であれきちんと読んだのは、恥ずかしながら初めてである。

 

 

政治学への道案内 (講談社学術文庫)

政治学への道案内 (講談社学術文庫)

 

 

政治学への道案内 (講談社学術文庫)

政治学への道案内 (講談社学術文庫)

 

 

政治の発見―市民の政治理論序説 (同時代ライブラリー (308))

政治の発見―市民の政治理論序説 (同時代ライブラリー (308))

 

 

 今回気づいたのは、これらの本で高畠先生が、「家庭と政治」についても論じられていることである。それも、「連続する同質的な場」(『道案内』291頁)、「このような政治社会の極小形態は、もちろん、家庭である。実際、家庭は、あらゆる意味で政治のモデルとして適切な条件を具えている」(『政治の発見』43-44頁)といった形で、つまり、家庭(家族)も、国家などと同型の一つの政治の場として理解する形で、論じられているのである。いくつか、国家レベルの政治とのアナロジーで家庭レベルの政治を論じている個所もある。私はかつて高畠先生の「市民政治」論をいくつか読んでいたし、また、『高畠通敏集』所収のいくつかの文章も興味を持って読んだことがあった。ただ、「家庭と政治」の話には、気づいていなかった(もしかしたら、書かれていたかもしれない)。

 今このことに気づくと、高畠先生とは「ニアミス」で終わってしまったことが悔やまれる。2004年の日本政治学会研究大会のことである。その時私は、「市民政治」をテーマとする分科会での報告を打診され、引き受けた。「市民政治」は高畠先生のテーマであり、討論者は高畠先生だった。ただ、その時の私は、当然(?)高畠先生が書かれたものに詳しかったわけではなく、そのころ考えていたフェミニズムと公/私区分の再検討をテーマに報告することにし、高畠先生の議論については、報告ペーパーの冒頭部で少し、当時刊行された『現代市民政治論』(世織書房、2003年)や『市民政治再考』(岩波ブックレット、2004年)の内容に触れた程度だった。そこで言われている「市民政治」は「私的領域」にも当てはまるのだろうか、といったことを書いたのではないかと思う。

 

現代市民政治論

現代市民政治論

 

 

 

市民政治再考 (岩波ブックレット)

市民政治再考 (岩波ブックレット)

 

 

 今にして思えば、「フェミニズムは公/私区分を必要とするのか?」という私の報告について、討論者としての高畠先生は、基本的に賛同してくださったのではないかと思う。私の報告は、公/私区分を空間的なものではなく、活動様式の区別として再構成し、かつ、「政治」を「公的な活動様式」として捉えることによって、「私的領域」にも「公的な政治」は存在し得る、と論じるものだったからである。これは、(議論の仕方が同一というわけではないけれども)『政治学への道案内』や『政治の発見』で「政治と家庭」について高畠先生が述べられていることと重なる。

 しかし、実際には、高畠先生のコメントを聴く機会はなかった。学会は2004年10月に開催されたが、先生はその年の7月に亡くなっていたのである。代わりに討論者として登壇されたのは、栗原彬先生だった。高畠先生をよくご存じの栗原先生には、上記に近いコメントを頂いたような記憶がある。ただ、高畠先生ご本人にはお会いできなかった。

 2004年の報告は、私にとって初めての学会報告だった。私が34歳の時で、今の政治学の若手が聞いたらびっくりするかもしれないけれど、当時は(おそらく)それほどおかしなことでもなかったのではないか。その最初の報告で、私はたでさえかなり緊張していたのだけれど、幸い、かなり多くの質問・コメントを頂くことができた。その時の報告論文は、その後雑誌『政治思想研究』第5号(2005年)に掲載され、さらに拙著『政治理論とフェミニズムの間』(昭和堂、2009年)の第3章となっている。こうしたことから、私にとっては忘れることのできない学会報告となっている。ただ、高畠先生との「すれ違い」も、「忘れることのできなさ」の一つの要因となっている。今にして思えば、テーマ的に先生と出会うべくして出会う場になるはずだった。しかし、すれ違いとなってしまった。

 あらためてご冥福をお祈りいたします。

 

政治理論とフェミニズムの間―国家・社会・家族

政治理論とフェミニズムの間―国家・社会・家族