自分が書いたもの

 この間に、私が書いたものとして、以下の2冊の本が刊行されています。
1)谷口将紀・宍戸常寿著『デジタル・デモクラシーがやってくる!――AIが私たちの生活を変えるんだったら、政治もそのままってわけにはいかないんじゃない?』中央公論新社、2020年。
 この本は、谷口さんと宍戸さんが、各分野の専門家に話を聞くという形で作られています。私は、第3章「情報化が導く、話し合いの必要性――熟議民主主義の巻」で登場しています。こういう形式ということもあって、比較的ざっくばらんに「話して」います。

2)那須耕介・橋本努編著『ナッジ!?――自由でおせっかいなリバタリアン・パターナリズム』(勁草書房、2020年)。この本の第5章「熟議をナッジする?」を執筆しています。


 

この間の頂きもの

 ブログの更新が滞りがちになり、かつての恒例だった頂きもののご紹介も滞りがちになっています。特に4月以降の頂きものについてご紹介いたします。ただ、網羅的ではありません(申し訳ありません)。

1)ジョン・ロールズ『政治哲学史講義1,2』(岩波現代文庫、2020年)。訳者の齋藤純一先生、山岡龍一先生、谷澤正嗣先生、小田川大典さん、高山裕二さんから頂いておりました。ありがとうございました。

2)ジョン・ロールズ『公正としての正義・再説』(岩波現代文庫、2020年)。訳者の一人の平井亮輔先生から頂いておりました。ありがとうございました。3)飯田文雄編『多文化主義の政治学』(法政大学出版局、2020年)。編者の飯田先生、寄稿者の網谷龍介さん、早川誠さんから頂きました。どうもありがとうございます。飯田先生は「リベラルな多文化主義の形成と展開」、早川さんは「多文化主義とデモクラシー」、網谷さんは「オーストリアとドイツにおける国家とムスリム――社団的統合対リベラリズム」の章を執筆されています。
多文化主義の政治学 (サピエンティア)

多文化主義の政治学 (サピエンティア)

  • 発売日: 2020/06/11
  • メディア: 単行本
4)著者の待鳥聡史さんから、『政治改革再考――変貌を遂げた国家の軌跡』(新潮社、2020年)を頂きました。どうもありがとうございます。
政治改革再考 :変貌を遂げた国家の軌跡 (新潮選書)

政治改革再考 :変貌を遂げた国家の軌跡 (新潮選書)

  • 作者:聡史, 待鳥
  • 発売日: 2020/05/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
5)著者の井手英策さんから、『欲望の経済を終わらせる』(インターナショナル新書(集英社)、2020年)を頂きました。どうもありがとうございます。6)著者の濱西栄司さんと青木聡子さんから『問いからはじめる社会運動論』(有斐閣ストゥディア、2020年)を頂きました。どうもありがとうございます。内容とは全く関係ありませんが、この本では「はじめる」とひらがなですが、私たちが書いた『ここから始める政治理論』(有斐閣ストゥディア)では、「始める」で漢字になっています(見た目のバランスで、少しこだわりました)。7)監訳者の千葉眞先生、訳者の山岡龍一先生、遠藤知子さん、石川涼子さん、梅川佳子さん、高田宏史さんから、チャールズ・テイラー『世俗の時代(上)(下)』(名古屋大学出版会、2020年)を頂いておりました。大著の翻訳です。
世俗の時代【上巻】

世俗の時代【上巻】

世俗の時代【下巻】

世俗の時代【下巻】

8)岡﨑晴輝さんと松尾隆佑さんから、「松尾隆佑著『ステーク・ホルダーデモクラシーを編む』を読む」『政治研究』(九州大学)第67号、2020年、101-117頁、を頂きました。どうもありがとうございます。岡﨑さんによる書評と松尾さんによるリプライです。下記から読むことができます。
松尾隆佑著『ポスト政治の政治理論 : ステークホルダー・デモクラシーを編む』 - 九大コレクション | 九州大学附属図書館

9)西山渓さんから、Kei Nishiyama, Wendy Russel, and Pierrick, "Facilitation of Deliberation in the Classroom: The Interplay of Facilitative Technique and Design to Increase Inclusiveness," The Centre for Deliberative Democracy & Global Governance Working Paper Series を頂きました。どうもありがとうございます。キャンベラ大学の「熟議民主主義とグローバルガバナンスセンター」のワーキングペーパーの一つとして公表されているものです。下記から見ることができます。

https://www.governanceinstitute.edu.au/centres/deliberative-democracy-and-global-governance/working-paper-series

10)寄稿者の松本俊太さんから、吉野孝・前嶋和弘編著『危機のアメリカ「選挙デモクラシー」――社会経済変化からトランプ現象へ』(東信堂、2020年)を頂きました。どうもありがとうございます。松本さんは、「連邦議会における手続的分極化の進展と選挙デモクラシー」の章を執筆されています。

危機のアメリカ「選挙デモクラシー」

危機のアメリカ「選挙デモクラシー」

  • 発売日: 2020/05/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

11)執筆者の齋藤純一先生、上原賢司さん、松元雅和さん、岸見太一さん、山田祥子さん、辻悠佑さん、内田智さんから、『思想』第1155号(2020年7月号)を頂きました。どうもありがとうございます。この号は「グローバル・ジャスティス」の特集です。
 山田祥子さんは、私の指導院生の一人で、「グローバルな正義の主体の語り方」という論文を寄稿しています。その他のみなさんの論文タイトルもご紹介したいところですが、こちらで目次をご覧ください。

思想 2020年 07 月号 [雑誌]

思想 2020年 07 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/06/27
  • メディア: 雑誌

12)著者の野口雅弘さんから『マックス・ウェーバー――近代と格闘した思想家』(中公新書、2020年)を頂いておりました。どうもありがとうございます。今年がウェーバー没後100年ということですが、既に話題になっているとおり(?)、この本と今野元さんの『マックス・ヴェーバー――主体的人間の悲喜劇』(岩波新書、2020年)がほぼ同時に刊行されています。

13)仲正昌樹先生から、『現代哲学の最前線』(NHK出版新書、2020年)を頂きました。仲正先生からは、『マルクス入門講義』(作品社、2020年)も頂いておりました。どうもありがとうございました。
現代哲学の最前線 (NHK出版新書 627)

現代哲学の最前線 (NHK出版新書 627)

マルクス入門講義

マルクス入門講義

14)牧野正義さんから、博士論文(九州大学)「複数性・討議理論・シティズンシップーーハーバーマスと現代政治理論」を頂いておりました。どうもありがとうございました。そして、学位取得おめでとうございます!

第23回社会政治研究会(オンライン)のご案内

 このたび、第23回の社会政治研究会を、オンラインで開催することになりました。

〇日時 2020年5月29日(金)17:30~19:40

〇会場 Zoomによるオンライン開催(*)

〇第1報告
跡部千慧(立教大学)「女性教員の労働権確立運動と産休・育休の成立過程――『戦後女性教員史』をふまえて」

参考)https://rikka-press.jp/sengojoseikyouin

〇第2報告
近藤康史(名古屋大学)「イギリス福祉国家における社会的投資と政党の支持調達」

*前日までにお名前と所属を明記のうえお申込下さい(kamimura[at]nagoya-u.jp)。
ZoomのミーティングIDとパスワードをお知らせします。

【運営委員】大岡頼光(中京大学)/上村泰裕(名古屋大学)/田村哲樹(名古屋大学)/山岸敬和(南山大学)

『政治学』(勁草書房)の刊行について

 気がつくと、なんと今年になって初めての更新のようです。段々ブログを書かなくなってきたという自覚はありましたが、ここまでとは・・・。そして、その間に世の中も「こんな風に」なってしまっているわけですが・・・。
 ということで、少し前になってしまいますが、近藤康史さん、堀江孝司さんとともに書いた『政治学』が、勁草書房の「アカデミックナビ」シリーズの一冊として刊行されました。

政治学 (アカデミックナビ)

政治学 (アカデミックナビ)

 「はじめに」にも書きましたが、最初にお話を頂いたのが2013年の初春でしたから、そこから数えてほぼ7年かけての刊行になりました。長かった・・・。ただ、その分、いろいろと検討し、加筆修正を加え、まとまりのある本になったと思っています。
 本書の特色を挙げるとすれば、1)「政治」自体について考えることにそれなりにこだわったこと、2)政治学にはいろいろな見方があることを提示しようとしたこと、だと思います。
 一点目については、特に第1章「政治の境界」で、「政治とは何か?」あるいは「政治は、何ではないか?」についてそれなりにページを費やして解説しました。第1章は、政治は「経済」ではない(第1節)、「社会」ではない(第2節)、「法」ではない(第3節)という形で展開し、最後に、では政治とはという話(第4節)になります。第2章「政治の場」では、国家(第1節)や国際(第4節)に加えて、「市民社会」や「親密圏」といった節も置くことで、「政治」は様々な場所にあり得る、ということをわかってもらえるようにしました。
 二点目については、本書の第2部「政治学で考える」の全体が、政治学の多様性を伝えるような構成になっています。第2部の各章(第5章~第9章)は、同じテーマを、「記述」「説明」「規範」問い三つの考え方ないしアプローチで取り扱う、という構成になっています。このうちで現在の政治学の主流(と私が思うもの)は、「説明」をより「科学的」に洗練させていくというものだと思います。しかし、この本では、「科学的な説明」の最先端をカバーするという方針ではなく、歴史や類型論などの「記述」、思想的な「規範」も、政治学のやり方なのだということを示すという方針を取りました。
 個人的には、この本を今年度の「政治学原論」の教科書に採用しました。私にとって初めての教科書指定での授業で、どうなることかと思っていたのですが、現在は、「別の意味」でどうなることかという思いがあります。「オンライン」授業のことです。ただし、「オンライン」だからこそ、教科書を出せてよかった、という思いもあります。
 なかなか本を手に取ることも難しくなっていますが、ご関心があれば、ぜひ手に取っていただければと思います。

2019年を振り返る

 あまりこういうことを書いてきませんでしたが(「新年の抱負」的なことは時々書いていたと思います)、今年1年を振り返ってみます。
 研究面では、一番大きかったのは、まさについ最近出た、拙編『日常生活と政治――国家中心的政治像の再検討』(岩波書店、2019年)を刊行できたことでしょうか。いろいろな立場・考えの論考が収められているとはいえ、私としては、「政治=国家・政府」という政治・政治学観を見直す、といういつ頃からかそれなりに取り組んできた課題の、中間報告的なものができたと思っています。政治学の諸分野では、それぞれなりの方法の洗練・発展を、という流れがあります。その流れがダメだというわけでは全くありません。でも、私は、方法の洗練・発展だけが政治学における研究の活性化と発展のための筋道だとも思いません。「日常生活と政治」は、テーマ・発想のレベルでの転換を問いかけることで、政治学の研究の活性化・発展に寄与できればと思っています。

日常生活と政治: 国家中心的政治像の再検討

日常生活と政治: 国家中心的政治像の再検討

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2019/12/27
  • メディア: 単行本
 もしかしたら同じくらい大きかったことは、やはり今月になって刊行された『年報政治学』2019=II号(筑摩書房)に、拙稿「『自由民主主義を越えて』の多様性」が掲載されたことかもしれません。この論文は、公募論文として、つまり査読を経て掲載されたものです。私は査読を経た業績を、そうでない業績よりもアプリオリに高く見る潮流には疑問を感じています。しかし、現在の状況では、査読を経た業績を刊行することが大切であることも事実です。そういう意味で、この論文の刊行は大きなことであったと思います。また、この論文はかなり大きなテーマを扱いました。このようなテーマの論文が掲載されたことも、意義のあることであろうと思っています。
年報政治学2019―II成熟社会の民主政治 (単行本)

年報政治学2019―II成熟社会の民主政治 (単行本)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2019/12/19
  • メディア: 単行本
 その他には、今年は、永井史男・水島次郎・品田裕編『政治学入門』(ミネルヴァ書房、2019年)で、「デモクラシーを考えてみよう――みんなで決める複数のやり方」と題する章を執筆しました。これは、私が最近の全学教育科目(いわゆる教養科目)の「政治学」で話している内容を、かなり圧縮したものです。「かなり圧縮」ではありますが、「政治学は、みんなに関わる問題の決め方に関する学問」という私の考えを、それなりには伝えることができていると思います。
政治学入門 (学問へのファーストステップ 1)

政治学入門 (学問へのファーストステップ 1)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2019/05/16
  • メディア: 単行本
 また、ほぼ同じ時期に刊行された、田畑真一・玉手慎太郎・山本圭編『政治において正しいとはどういうことか――ポスト基礎付け主義と規範の行方』(勁草書房、2019年)に、「熟議民主主義における『正しさと政治』とその調停――熟議システム論を中心に」を寄稿しました。近年の熟議システム論をそれなりにフォローしつつ、「正しさと政治」の問題について考えることができたということで、執筆者全員が私よりも若いという、そういう意味では自分にとって「画期的」と言えなくもない論集に寄稿できたことは、意義深いことであったと思っています。 その他、今年中に作業を進めたものとして、田村哲樹・近藤康史・堀江孝司『政治学〔アカデミック・ナビ〕』(勁草書房、2020年)が、来年1月末(または2月)に刊行予定となっています。この教科書も、それなりに以前から取り組んできたもので、年明けにようやく日の目を見ることになりました。もう一つの論文集の制作も、大詰めを迎えつつあります。そのほか、来年にはいくつか刊行予定と執筆予定があります。
政治学

政治学

 今年はまた、9月に初めてEuropean Consortium for Political Researchの年次大会に参加しました。ここには、欧米+オーストラリアの熟議民主主義関係の研究者も多く参加しており、私としては、何人かの研究者とは貴重な再会の機会となり、また、新たに多くの研究者と知り合うこともできました。「英語で書く」のは、依然として自分にとってはハードルが高いのですが、自分なりに頑張っていきたいと思います。
〔追記〕今年はまた、国内では、日本教育社会学会(9月)、日本政治学会(10月)、科学技術社会論学会(11月)と三つの学会で報告(+政治学会では討論)をする機会があり、1年間での学会報告では多分最多だと思います。それぞれ違う分野の学会なので、(特に政治学以外のところでは)自分が話すことにどういう反応が得られるのか、かなり不安ではありましたが、やってみると色々得られるものが大きかったです。
 研究のこと以外も書こうかと思っていたのですが、とりあえずこのあたりで。

『日常生活と政治』刊行

 以前に予告した、田村哲樹編『日常生活と政治――国家中心的政治像の再検討』(岩波書店、2019年)が、刊行されました。「政治学」にこだわりつつ(ただし、寄稿者の久保田裕之さんは社会学者ですが)、その上で様々な角度から「日常生活と政治」を検討することで、「政治=国家・政府」という政治(学)観を再考しようとする論集です。

日常生活と政治: 国家中心的政治像の再検討

日常生活と政治: 国家中心的政治像の再検討

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2019/12/27
  • メディア: 単行本

『年報政治学』に論文が掲載されました

 日本政治学会の学会誌『年報政治学』2019-II号(筑摩書房刊)に、論文「『自由民主主義を越えて』の多様性」が掲載されました。この論文では、「自由民主主義(liberal democracy)」の多義性、特に「リベラル」の部分の多義性に注目し、それぞれの「リベラル」の「乗り越え」という観点から見れば、現代民主主義理論にはいくつかの「自由民主主義を越える Beyond liberal democracy」試みが見られる、ということを論じています。
 この論文は、公募論文として査読を経て掲載されます。私にとっては、『年報政治学』での査読論文の掲載は、治学会の学会誌『年報政治学』2019-II号(筑摩書房刊)に、論文「『自由民主主義を越えて』の多様性」が掲載されました。この論文では、「自由民主主義(liberal democracy)」の多義性、特に「リベラル」の部分の多義性に注目し、それぞれの「リベラル」の「乗り越え」という観点から見れば、現代民主主義理論にはいくつかの「自由民主主義を越える Beyond liberal democracy」試みが見られる、ということを論じています。
 この論文は、公募論文として査読を経て掲載されます。私にとっては、『年報政治学』での査読論文の掲載は、2002年以来、17年ぶりになります。「査読雑誌への投稿など当たり前では?」と思う分野の方・世代の方もいらっしゃるでしょうが、政治学界隈のある世代以上では、それほど通例とは思われません(それでよいというわけではありません)。そんな中で投稿してみようと思ったのは、「このご時世なので投稿して査読を経て掲載されることもやっておかないとな」と考えたからです(なお、数年前にも某誌に投稿しましたが、その時は査読で掲載不可となりました…)。
 私は、「『査読付きの論文』だけが学術的に評価されるべき業績」という考え方には、同意しません。査読を経ない形で公表される研究にも、優れたものはあると思うからです。だからといって、査読制度に意味がないと言いたいわけでもありません。この仕組みは、その時々の学界の水準を示すことには貢献していると思うからです。ただし、形式だけですべてに序列をつけることには、慎重でありたいと思います。

年報政治学2019―II成熟社会の民主政治 (単行本)

年報政治学2019―II成熟社会の民主政治 (単行本)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2019/12/19
  • メディア: 単行本